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知と強さの探究「MIKAGE SHIN」


24SSコレクションでは1950〜60年代にイギリスで流行したテディボーイ、テッズに焦点を当て、角張った肩、ハイウェストかつ太いパンツなど極端なシルエットにステッチ刺繍や染め技法を用いて、MIKAGE SHINらしい繊細かつハードなディティールを呈している。
実際に画像2枚目のシースルートップスには、どこの国の言語でもないノンバーバルな刺繍である
"Anonymous Tattoo"が施され、デニムパンツは木目をイメージしたエフェクト染めが用いられている。

個人の知性と強さを引き出すことを信条に、哲学性をデザインに反映することもMIKAGE SHINの一つのエッセンスである。23AWで3色展開されたフリルキャミワンピースは、米国で1900年代に書かれた研究論文からオリジナルコラージュした筆跡をモチーフとしたIvory Text柄(画像1,画像2左)、80年代のポスト・モダンブームを牽引したデザイン集団・メンフィスの美学をテーマに大理石をモチーフとしたMoon Terrazzo柄、イタリアの大理石をモチーフに、デザイナーがオリジナルで色調整を施したRed Marble柄(画像2右)が用いられた。

その他にもルネ・マグリットの様なシュルレアリスム調のデザインスウェットや手書きの盆栽柄ニット、分離派建築会の特徴である「田園と都市」をキーワードにしたシャツ等、あらゆる要素を用いた表現が特徴的である。このような啓蒙的デザインは洋服が持つ平面性に奥行きを与え、立体的な感覚に身を包むことを可能にする。それは洋服やデザインといった外部と、我々の内部にある精神やアイデンティティとの境界線を消し去り、より一体的な、本質的なファッションを再現する。モードかつ古風な、洗練されていてユーモアのある、裏とも表とも言えないMIKAGE SHINは何を描き、どこへ行くのか、今後も注目したい。
 
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