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テクノロジーとの融合「ryaw」

2022 Autumn/Winter Collection
22AW テーマはバイオフィリア。これは、人間は無意識のうちに自然に治癒を求めているという仮説から設けられた。哲学者のエーリッヒ・フロムはバイオフィリアを「生物または生物系への愛情」と意味付けている。また生物学者のウィルソンは、この用語を同じ意味で使用し、人間には無意識のうちに他の生物とのつながりを求める傾向、つまり本能があると主張した。

バイオフィリアをコンセプトに、自然を織り交ぜた服をデザインした今回のコレクション。
フリース素材に有機的な曲線をカッティングで落とし込んだトップス(写真1.2.4枚目)や、ミリタリーウェアMK3からインスピレーションを得たアシンメトリージャケット(写真6枚目右)、蚕の成虫の姿を衣服で表現したライトジャケット(写真6枚目左)を発表した。アシンメトリージャケットには、自然と文化を組み合わせて作られるランドスケープデザインにより、自然との共存が落とし込まれている。
また、ダウンベスト(写真5枚目)とショルダーバッグ(写真3.6枚目)には通常のナイロンの5倍以上の強度があるといわれているバリスティックナイロンに熱を与え、表面加工が行われたオリジナルファブリックが使用されており、バイオフィリアに基づいた葉脈が表現されている。葉脈の表現は、コンクリートに囲まれた現代社会で失われつつある人間の生き方や感性を問い、自然の営みへのリスペクトをデザインしている。

人々には「やすらぎ」を求める際に、田舎に赴く傾向がある。田舎は緑が多く、自然を肌で感じる事ができる。また、都会のコンクリートに比べて田舎には土が多い。コンクリートは自然のものではないため違和感を感じやすいが、土は生きているため触れて生を実感する事ができる。人間はこれらを無意識に求めているが、それは潜在的なもののため感じ取る機会が乏しい。また生き急ぐ現代人にとって、自然を肌で感じ取ることはより困難になってきている。そんな中で「ryaw」は"服"という誰もが身につけ、肌で感じとれるものを通して、人間の本能を揺さぶろうと尽力している。このような実験的な取り組みにより、私たちは服を"着る"だけでまた新たな可能性を感じ、一種のカタルシスを受け取ることができるようになるかもしれない。
 


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